番犬男子
あたしの表情から笑みが消え、冷徹に凍てつく。
「命を軽んじて、殺してしまったのに、へらへらしてるなんて……あんた、人として大事なものが欠けてるんじゃないの?」
「んだと!?」
「小学生からやり直せ、このクズがっ!」
いや、小学生に失礼か。
0歳の赤ちゃんからやり直せ。
「あ、ちなみに、」
上から目線に見下し、鼻で笑う。
「カラスの数え方は1匹じゃなくて、1羽だよ」
そう追い打ちをかけると、カラス殺しの男子の顔がカッと熱くなった。
いきり立ち暴れ出すカラス殺しの男子を、下っ端2人が必死に押さえる。
すると、遊馬がおもむろにあたしのそばを離れ、カラス殺しの男子の前に行った。
「放せ!どけ!俺はあの女に……っ!」
「うっせえ」
たった一言、地を這うように吐き捨てられた。
と同時に、――ドスッ!!、くぐもった鈍い音が短く轟いた。
「ぐはっ」
カラス殺しの男子は、唸るように痛みをこらえる。