番犬男子




お腹に深くのめりこんだ遊馬の拳が離れるにつれ、カラス殺しの男子の意識は霞んでいった。


完全に意識を失い、だらん……と力が抜けた体を、下っ端2人が咄嗟に支える。



「そいつ、頼んだぞ」


「は、はい!」



遊馬はそう言うと、下っ端2人はカラス殺しの男子を警察に渡すため、交番へ向かった。




この場の元凶がいなくなり、遊馬が申し訳なさそうに頭をかいた。



「悪ぃ」


「え?」



どうして謝るの?



「ちょっと黙ってらんなかったわ」



情けなさそうに俯く。



カラス殺しの男子を、公衆の面前で殴ったことを反省してるの?


後悔は……してなさそう。



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