「お出かけ…と言いますと、どちらへ?」

そのことにひかるは戸惑いながらも、伊崎に質問をした。

「動物園なんてどうですか?

今はパンダの赤ちゃんが見れるらしいので」

「動物園ですか…」

チクリと、ひかるの胸が痛んだ。

「どこか他のところがいいですか?

ひかるさんの行きたいところでも構いませんよ」

何も答えないひかるに、伊崎が聞いてきた。

「い…いいですよ、行きましょうか」

ひかるの返事に、
「ああ、よかった」

伊崎はホッと嬉しそうな表情を浮かべた。

「あの…」

声をかけようとしたひかるに、
「10時に迎えに行きます、では」

伊崎はそう言うと、背中を見せた。

「えっ、あの…!」

呼び止めようとするひかるに伊崎は会釈をすると、店を出て行った。
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