豪が住んでいる2階建てのアパートが見えてきた。

1階の西側にある部屋が豪と母親が暮らしているところだ。

ひかるはそのドアの前に立つと、
「豪くーん、迎えにきたよー」
と、呼びかけた。

ドアが開くこともなければ、返事が返ってくることもなかった。

まだ寝ているのだろうか?

いや、そんなことはないはずだ。

「豪くん?」

コンコンと、ひかるはドアをたたいて呼びかけた。

「豪くん、まだ寝てるの?」

そう声をかけながらドアノブに手をかけると、ガチャッとドアが開いた。

鍵はかけていないようだ。

不用心だ。

ひかるは首を傾げると、ドアを開けた。

「…えっ?」

目の前の状況に、ひかるはどうすればいいのかわからなかった。
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