愛を知らない一輪の花
そんな話を聞いて驚いた。
「左様でございましたか。こちらこそ、わざわざお電話を頂き、誠にありがとうございます。」
「素晴らしいスタッフさんをお持ちですね。きっと素敵なお花屋さんなんでしょう。今度是非、寄らせて下さい。では、失礼します。」
そんな有難い電話を貰って、誇らしくなった。
折角の好意を伝えようと蓮は本店へ向かった。
本店に顔を出すなり、スタッフが駆け寄る。
その中に百合の姿はない。
「皆、お疲れ様。」
「お疲れ様です。どうされました?社長」
店内にいた優香が蓮にたずねる。
「たった今、お客様から電話をもらってね。なんでも昼頃にご年配の女性を家まで送り届けてくれたそうだ。大変喜んでいらしてね。今日は誰が配達に?」