愛を知らない一輪の花
「キャバクラの女性のお誕生日だそうで、予算1万円のお任せの花束だそうです。貰われる方は若い方で、お客様いわく、ピンクがお好きだとか。出来次第、女性がお勤めの店にご配送でーす。」
「、、、だそうよ?斉藤さん。」
予約内容を聞き終えると、斉藤の方を見た。
「この予約、貴方に任せるわ。花束が出来たら、そのまま配送して。その後は直帰でいいわ。じゃあ、頼んだわよ?」
そう言うと、店内を締め帰って行った。
百合は早速花束に取り掛かる。
久しぶりの花束で、少しワクワクしながら店内の花のストッカーから、ピンクの薔薇に色の濃いピンクのスプレー薔薇、フリルのついた淡いトルコギキョウに赤のスプレーカーネーション。後はドラセナなどの葉物にかすみ草を取り出し、素早く束ねていく。
若い女性ということでふんわりブーケ風に纏め、ラッピングしていく。最後に幅の太めの大きなリボンをつけて完成だ。