愛を知らない一輪の花
アパートのチャイムが鳴り、玄関に出た。
「お仕事、お疲れ様です。」
「待たせてごめん。もう出れる?いこうか。」
車の助手席に百合を乗せ、走り出した。
私服姿の百合を見て、ソワソワと落ち着かない。痛みのない綺麗な髪は下ろして、ハイネックのグレーのひざ下のロングニットに控えめなラメの入ったタイツに黒のコート。華奢な身体にシンプルな格好で、彼女にとても似合っている。交通機関を使わせなくて、正解だったなっと思った。
「今日はどちらにいかれるんですか?」
首を傾げる百合に可愛く思いながら。
「そうだね。どこが良いかな?百合が行きたい所とかはない?ベタに映画でも行こうか。」
「はい。優柔不断で決められない性格でして。社長にお任せしてもよろしいですか?」
「勿論。じゃあ、映画観たら、夜は何処かで食 事をして帰ろう。」