友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

「缶床に置くと、蹴ってこぼすんじゃないか?」
「大丈夫」

のぞみは自信満々に答えた。

二人分の洗濯物は、一人の時よりも当たり前だけど多い。

「うわー、タオルふかふか」
「柔軟剤入れればそうなるだろ?」
「柔軟剤なんて、入れないよ、普通」
「入れるよ、普通」

柔軟剤を入れるなんていう贅沢、しばらくしていない。ゴワゴワのタオルに慣れてしまっていたので、こんなホテルライクなタオルは、申し訳なくて使えない気がする。

「琢磨の下着は、全部黒なんだね」
そう言うと、琢磨はソファからなんとも言えない顔でこちらを見てくる。

「何?」
「いや……友達に下着を畳まれるって、微妙だなと思って」

ちょっと考えてから「やっぱ、俺がやるわ」と手を出してきた。

「ええ、気にしないよ? ぜんぜん普通にたためるし」
「でもな」

たたんでいる最中の下着を引っ張られて、のぞみもムキになる。

「大丈夫!」
「大丈夫じゃねー!」
「あっ」

乱闘になりかかって、ついビールの缶を蹴っ飛ばした。二人とも頭からビールを浴びる。

立ち上るお酒の匂い。洗
濯物の一部にもビールが。
もちろん、琢磨の黒の下着にも。

「おまえなーっ! だから床に缶を置くなって言っただろ!」
「琢磨が下着を奪おうとするからじゃんっ」

琢磨が大げさにため息をつく。

「洗濯するぞ」
「また?」
「ビールの匂いがしてるやつ、一晩放っておけるか」

のぞみをちらっと見て、「のぞみは、シャワー」と命令した。

「あとでいいよ?」
「いや、むしろ先に入って。その格好でフラフラされたら、二次被害が出る気がする」
「失礼な」

琢磨に追い立てられるように、のぞみは強制的にシャワーとなった。

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