友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~
琢磨は、魂が抜けるほどの深いため息をついた。
乱れた髪と服を整え、洗面台に両手をついてしばらく時間を置く。
当時、のぞみはもしかしたら大崎のことが好きだったのかもしれない。
俺が気づかなかっただけで。
あまりにも友情の存在を信じすぎていたせいで。
今、もし大崎と一緒になりたいと言ったら?
のぞみは友達なんだから。
俺は、のぞみの幸せを考えて、背中を押してやるべきだ。
あの日、俺を大学へと進ませたのぞみのように。
琢磨はトイレを出て、披露宴会場へと向かう。
頭の中はいろんなことが飛び交っていて、足元がふわついている気がした。
ふと、右手のブライダルサロンが目に入った。
白いドレスがショーウィンドウに飾られている。
そしてその横に、結婚指輪も。
琢磨は立ち止まり、しばらくその指輪を見続ける。
それから意を決したように、ブライダルサロンへと入っていった。