永く青い季節 〜十年愛〜
翌日の朝、私は彼と新幹線のホームにいた。
「これからは遠距離になっちゃうけど、できる限り帰って来るから。その為にもバイト頑張んなきゃな」
「藤元先輩はバスケあるじゃないですか。無理はしないで下さい。私もバイト頑張って、東京に行きます」
「あのさ…いい加減、“先輩”ってやめない?下の名前で呼んでよ」
「え…えぇ〜?幸さん?幸…くん?」
「“ コウ ” でいいよ。俺も“ 美織 ”って呼ぶからさ」
「え〜?先輩より私の方がハードル高くないですか?」
「先輩、じゃなくて?…はい!」
「えっと……コウ」
初めて彼のことを、下の名前で、しかも呼び捨てで呼んだ事に、私は赤面してしまう。
「ん。ついでに敬語も禁止。じゃあな、美織」