永く青い季節 〜十年愛〜


翌日の朝、私は彼と新幹線のホームにいた。

「これからは遠距離になっちゃうけど、できる限り帰って来るから。その為にもバイト頑張んなきゃな」

「藤元先輩はバスケあるじゃないですか。無理はしないで下さい。私もバイト頑張って、東京に行きます」


「あのさ…いい加減、“先輩”ってやめない?下の名前で呼んでよ」

「え…えぇ〜?幸さん?幸…くん?」

「“ コウ ” でいいよ。俺も“ 美織 ”って呼ぶからさ」

「え〜?先輩より私の方がハードル高くないですか?」

「先輩、じゃなくて?…はい!」

「えっと……コウ」

初めて彼のことを、下の名前で、しかも呼び捨てで呼んだ事に、私は赤面してしまう。


「ん。ついでに敬語も禁止。じゃあな、美織」
< 54 / 145 >

この作品をシェア

pagetop