元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
ファネール提督はもうひとつ巻物を取り出した。
「丁寧だな。なんとしてでも勝てって事か」
それを受け取り、テーブルの上に静かに置くレオンハルト様。
「元帥閣下のお力で、敵の海軍は壊滅同然と言えましょう。残るのはエカベト本土の陸軍のみ」
メイヤー提督が立ち上がる。その目は闘志がみなぎり、炎が燃えているように輝いていた。
「そうらしいな。それなのにこの大群を連れてエカベトをぶっ潰してこいと」
皇帝陛下を皮肉るようなレオンハルト様に、穏やかに最年長の白髪の提督が告げる。
「これだけいれば敵の士気に与える影響は大きいでしょう。なるべく早く降伏させられるとは思いませんか?」
激しい攻撃を加えずして戦意喪失させると。そういうことか。
「元帥閣下の副官殿の意見は?」
また褐色の髪の提督が私に話を振る。さっきから感じ悪いな、この人。
「簡単に無血開城とはいかないでしょう。私たちが近づけばあちらは迎撃しようとするはず。交戦を最小限にして、相手の首脳部と直接対話する道があればいいのですが」
そこまで意見を述べると、褐色の髪の提督はふっと苦笑を漏らした。「青二才が甘いことを言っている」とでも思うのだろう。