元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

けれどベルツ参謀が拍手して私の意見を受け入れた。

「その通り。これ以上の戦闘は無意味である。ほとんど勝敗はきまっているのだから。皇帝陛下は相手が降伏したらどうなさるおつもりなのか、それをまず知りたく存じます」

形式ばった言い方のベルツ参謀の言葉にうなずき、レオンハルト様がテーブルに置いておいた巻物を開く。

「わああ、元帥閣下! エカベト国王以外の人間が勝手に開けてはいけません!」

ファネール提督が慌てるけど、レオンハルト様は意に介さない。

「いいんだよ、元に戻しておけば。なになに、ふーん……。無条件降伏すれば、エカベト国民に危害は加えないとさ。王族は捕虜になってもらうが、その生活は保証すると。無難だな」

「無難ですが、それがあるとないとではかなり違います」

「ああ。皆殺し一択でなくて良かった。さすがは我らが皇帝陛下」

レオンハルト様とベルツ参謀は視線を交わし合う。たったそれだけで、今後の作戦を語り合っているように感じた。

もちろんいつも一緒にいない提督たちは、ソワソワした視線で二人を見ている。

「よし、これをなるべく早くエカベトに届けよう。ルカ、綺麗に結び直してくれ」

「ええ〜」





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