お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
ヘラっと笑って誤魔化したけど、ドクターの目は胡散臭そうに見ていて。


「見せてみろ」


「えっ…大丈夫ですから」


どうもないですと言い切ってるのに頑として引かない。
原さんもドクターの味方に付いて、見せてみれば?と軽く言い出すし。


「さっさと見せろ!今日の分はちゃんと診察代を請求してやる!」


「今日だけのじゃなくて、昨日の分も一昨日のも払いますよー」


渋々と椅子に座って足を上げた。
上げると脛のケガも見つけられて、ここはどうした?と訊ねられ……


「ああ、ちょっと階段から足を滑らせて……」


「ブフッ!」


原さんが吹き出してしまう。
笑いを堪えようとしてるんだけど、どうにも可笑しくていけないらしい。


「あんた、とうとう目を無くしたか」


「今朝は急いでたから仕様がないんです!」


「不可抗力とか仕様がないのレベルじゃねーだろ」


呆れ返ったドクターは、とにかく先に捻挫を見せろと言った。
階段から滑った弾みで足に力を入れたから、足首は少し悪化した様な腫れ具合だ。


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