お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
(でも、言いたいな……好きです……って)


だけど、先ずは食事。
それからあの美女達との関係も聞こう。


テーブルに着いてメニューを開けば、中はどれも見慣れた料理名ばかりが並んでた。単純にイタリアンってだけで、そんなに値段も高くない。


(良かった。リーズナブルで)


バーのマスターが儲けてるとか言ったもんだから構えてた。私が思ってる以上に、ドクターは平民に近いのかもしれない。



「何をニヤついてるんだ」


おっと、つい顔に出てしまったか。


「別にニヤついてないですよ。先生のチョイスがグッドなだけです」


そう言えば、お昼の塩クロワッサンサンドが美味しかった。皮がパリパリしてて歯切れも良くて。


「先生」


「何だ」


ワインも何も飲めないから、グラスに入った水を飲んでる。その人に向かい合い、ありがとうございましたとお礼を言った。


「お昼はミニメロンパンまであるとは思わなくて嬉しかったです!」


あのクリーム入りのは女子の間では人気なんだ。
バニラ風味が強い割に、アッサリとしていて食べ易いから。


「舌噛まなかったか?」


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