お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
単純に気になる患者だと言ったよね!?


「最初はどうしようもない患者だと思って呆れてばかりだったんだ。だけど、いつからか変わった。……多分、病院へ連れ帰った日からだ。あの時、悔しそうに泣いてるのに無理して笑おうとするのを見て胸が弾んだ。


それから毎日泣いてないかと気になった。
バーでまた会った時は驚いたけど、会えて良かったとも思えたんだ。


なのに逃げ出すように店を出て行くし、気になって追い掛けずにはいられなかった。

…これは恋をしてるからだろう?少なくとも、俺はそう思う!」



自信たっぷりに言ってる声が耳元に降り注ぐ。

甘い言葉を言ってやると豪語してたけど、そんなの関係なく喋ってない!?この人___



ドキドキしながら顔を上げる。
照れるような表情のドクターと目が合い、ホント…?と聞き直した。



「間違いない」


そう答える彼の顔が歪んでく。
視界が潤んで、ハッキリ見えなくなったせいだ。



「泣くなよ」


「ムリですよ」


我慢してた涙が別の意味で流れだした。


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