お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
イケメンで口の悪いドクターがポカンとした顔つきでいて、その表情を見た藤田くんが、うん同級生…と教えた。


「同級生?じゃあ靖と同い年か?」


ウソだろ〜と言いたそうな感じだ。
ショートボブの髪の毛のせいで、何度か年齢よりも幼く見られた経験があるけど。


(今回もか)


ガックリとしそうになる。
でも、それをせずに気持ちを奮った。


「そうだよ。同じ歳だから二十六。お互いに歳をとったねー」


いや、そのセリフ、余りにも年寄りみたいでヤだから止めて。


「いつ以来だろう。中学卒業してから会ってないんだっけ?」


「私は成人式にチラッと姿は確認したよ。でもその時もチラ見しただけだから忘れてた」


なんだ。そうかぁと笑う藤田くん。
優しそうな雰囲気が中学の頃と変わらない。


「おい、どうでもいいけど包帯」


白いガーゼを巻いた物を弟に投げ渡し、さっさとやれという兄ドクター。

なんですか。折角のいい雰囲気をナシにして、と心の中でブスくれた。


「はいはい。巻けばいいんだろ」


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