九魂猫骨董品店

「蛇神について私は知らぬが、祠は知っているぞ

だが、貴様なんぞに教える必要が何故ある?

知りたければ私を倒してみよ!



冷たく、暗い、そしてどこか悲痛な叫び声の様な声でしたわ。

彼はとても驚きましたわ。


先程は、どこか柔らかな雰囲気であったのに、いきなり牙を剥き出して襲いかかってきたのですから…


それでも、祠を知るためには倒さねばならぬと腹を括り、太刀を振るいます。


とても凄まじいものでお互いに一歩も引きませんでしたわ。

それでも、清らかな力を持つ太刀は素晴らしかったですわ。

蛇神様の頭を縦に軽くピッと当たっただけで、頭一つ分を真っ二つにしましたの。

彼は倒せたと思いましたわ。


でも相手は邪神に堕ちたと言えど神、そう簡単にはやられませぬわ。

切れた頭は一つずつの頭になりましたの。

いわゆる双頭ですわね、その彫刻の様な…


長いような短いような接戦の中で、

お互いがもう力尽きそうになる頃ですわ。


蛇神様の動きが一瞬、本の一瞬だけ止まりましたの。

まるで何かを見つけたかの様に…


彼はその一瞬で、双頭共に切り落としましたわ…

もう、再生する事も叶いませんわ。


彼は問いかけます。


私の勝ちだ、祠はいったいどこにあるんだ


蛇神様は満足そうに答えました。


これより私の体は消滅する

その際に溢れ出る光が祠に案内するだろう…


そう言って、蛇神様は目を閉じました…」



なんだろう…
この報われない気持ちはなんだろう…

「何故、蛇神様は物忘の力を使わなかったんですかね…それを使えば勝てただろうに…」

つい、そう話す。

「…きっと、昔と変わった姿を明かしたくはなかったのでしょうね。終わりを迎えたかったんではないですかねぇ…」

どこか遠い目をして、そう呟く店主。

「あら、まだ続きもありましてよ?」

まだ、何かあるのか…
熱はもう出ていないが、まだ伝えたい事があるのだろうか…

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