九魂猫骨董品店
「蛇神様が目を瞑って暫く経つと、首以外は柔らかな白い光を瞬き始めましたわ。
そう、昔の蛇神様の様な、それは美しい白…
彼はその光を見詰め、そして光の流れる先へ走ります。
もっと奥の木々を縫って、たどり着いた鳥居だったと思われるもの。
そこを過ぎて真っ直ぐと進むと、大きな洞窟がありました。
そして、その中には祠がありました。
光は祠の中に吸い込まれていきますわ。
まだ、蛇神様は居られるのか…
そう思い、祠の扉手を掛けました。
あれ…祠の中には入ってはいけなかったのでは…
いや、この際だ
彼は扉を大きく開きました。
光の瞬く祠の中は…
山ほどの鱗の護り。
自分の胸元の鱗と比べてみると、同じ形のものから少し歪んできてるものが見て取れましたわ。
もう、ここにはおられないのか…
そう諦め、彼は山を降りました。
街の人々にもう怯えなくとも山を超えられる、
そう伝えねばと思いながら…
ですが…
祠の中には
誰も入ってはいけないのです…
入って正気でいられるのは物忘ノ神のみ…
禁を破ったものは
罰を受ける…
彼は、山すら降りられずに全てを忘れ、死んだとか…」