気付けば、君の腕の中。


あたしが呼ぶと、凜くんはぱっと振り返って「どうしたの?」と訊ねた。

月城の時は、こんなにも至近距離で視線を合わせたことはなかった。



「あのね、“友達”からのお願い聞いてくれる?」

「! 勿論!」


ずっとずっと“友達”が欲しかった凜くんならば、あたしの言葉を聞いてくれるだろう。

それが例え、どれ程苦しいことでも。


「…桃を、第一優先に出来なくてもいいから、それでも桃を笑わせてあげて?」

「? どういう…?」

「今日一日…、桃はずっと笑ってなかったと思うんだ…」


幼い子供に言い聞かせるように、あたしは一つ一つ説明をした。


< 104 / 445 >

この作品をシェア

pagetop