気付けば、君の腕の中。
あたしが呼ぶと、凜くんはぱっと振り返って「どうしたの?」と訊ねた。
月城の時は、こんなにも至近距離で視線を合わせたことはなかった。
「あのね、“友達”からのお願い聞いてくれる?」
「! 勿論!」
ずっとずっと“友達”が欲しかった凜くんならば、あたしの言葉を聞いてくれるだろう。
それが例え、どれ程苦しいことでも。
「…桃を、第一優先に出来なくてもいいから、それでも桃を笑わせてあげて?」
「? どういう…?」
「今日一日…、桃はずっと笑ってなかったと思うんだ…」
幼い子供に言い聞かせるように、あたしは一つ一つ説明をした。