雨の降る世界で私が愛したのは


『俺の番号にかけてきておいて、もしかして依吹ってなんだよ。そっちこそ、もしかして一凛かよ』

「依吹」

 思わず大声をあげてしまう。

『でかい声出すなよ、周りに聞こえるだろ』

「なにしてるの?」

『なにって仕事してんに決まってんだろ』

「仕事?依吹仕事してるの?なんの仕事してるの?」

『なんだよ、いきなり電話してきて質問責めかよ、つかそっちこそなにしてんだよ』

 仕事中だからあとからまた連絡すると依吹に半ば強引に電話を切られる。

 五分もしないうちに依吹からメッセージが届いた。

『帰国したんだってな、おかえり。つか連絡よこすの遅いぜ』 



 その日仕事が終わった一凛は依吹が指定した店に向かった。

 伊吹は家こそは出ていたがまだこの町にいて、そこから仕事に行っているようだった。

 町のどこにでもある餃子のチェーン店に約束の時間より早く着き、雨が激しくなってきたのもあって一凛は店に入って依吹を待つことにした。



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