雨の降る世界で私が愛したのは


「なによ」

 依吹はふんと笑った。

「相変らずハル、ハルだな。どうせ今回ハルの居場所が知りたくて俺に連絡してきたんだろ」

 そんなことはない、依吹にも会いたかったと言おうとしたが、なんだか嘘臭くなりそうで一凛は黙った。

 それにハルの居場所を訊くのが一番の目的だったから図星だ。

 でもなんだか依吹にそう言われるとちょっと寂しい。

「そんな顔すんなよ。ハルは元気にしてるぜ。新しい檻に移ったんだ。ハルの奴が檻に何度も体当たりしたことあったろ。あれで鉄格子が少し破損したんだ」

 ハルが颯太と依吹を威嚇した時のことを思い出す。

 こうやって依吹とハルの話をしているとまるでついこの間のことのように思えてくる。

「よかった。ハルは元気にしてるのね」

 ハルはあれから少しだが、心を許した相手には簡単な会話をするようになったそうだ。



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