雨の降る世界で私が愛したのは


 一凛は空になった硝子とっくりを持ち上げほのかを見た。

 ほのかはうんとうなずく。

 一凛は立ち上がり備え付けの部屋の電話で追加注文する。

 少しよろけて酔ったかな、と一凛は自分の頬に手をあてた。

「なんか結局さぁ」

 ほのかは横座りしていた足を伸ばした。

「恋って相手の男をどれくらい自分が好きになるかだよね。愛されるだけなんて退屈。あーあ、すべてを投げ出してもいいくらい恋させてくれる男いないかなあ」

 ほのかも酔ったのかいつもより饒舌だった。

 時計を見るとまだ午後三時過ぎだった。

 どうせあとは帰るだけだ。

 電車の中で寝ていれば着く頃には酔いも冷めるだろう。

「ほのかのツインソウルはまだ見つかってないの?」

 一凛を見たほのかの目は心なしかとろんとしている。

「まだ。もしかしたら今世では会えないかも知れない」


< 141 / 361 >

この作品をシェア

pagetop