雨の降る世界で私が愛したのは
ほのかにしては弱気だねと一凛が言うと、ちょうど追加した冷酒が届き、ほのかはツインソウルについて詳しく語り始めた。
一凛はその話を半分本気で半分はまるでおとぎ話を聞くようなかんじで、適度に相槌をうった。
「でね、そのツインソウルと出会った瞬間なんだけど」
部屋の外で大きな物音がした。
ほのかと一凛は顔を見合わせる。
また、どたん、ばたんと二度大きな物音がし若い男性の笑い声が聞こえてきた。
「イケメンかも」
ほのかは立ち上がり、はだけた襟と袂を整えると入り口へと向かう。
一凛が止める間もなくほのかは扉から顔を覗かせた。
「大丈夫ですかぁ」
一凛は入り口を気にしながらも鍋の中に箸をさまよわせる。
大きな塊にぶつかり引き上げると最初に入れた豆腐だった。
火が通り過ぎてすが立ち固くなってしまったものを口に運んでいると、ほのかが、あーっと大声をあげ、思わず茶碗の中に豆腐を落とす。
ぽちゃんとポン酢が浴衣にはねた。