雨の降る世界で私が愛したのは
「付き合ってる人とかは?それもいないの?」
また首を振る。
「まさかまだゴリラ以外、人間の男には興味ないなんてことないよね」
「まさか、ちゃんとあっちでは彼氏もいました」
「そうなんだ、あっちの人?」
一凛がうなずくと、颯太はふーんと鼻を鳴らして一凛をまじまじと見つめる。
「一凛ちゃんてもしかして毛深い男じゃないと駄目だとか?」
颯太はそう言って笑った。
さっき昔ひどい事をしたと後悔したのをなかったことにしたくなった。
何か強烈な一言を言い返そうとしたら、一瞬で真顔に戻った颯太はすぐに謝った。
「ごめん冗談だよ。こんなだから俺は一凛ちゃんにふられたんだよな。俺、実は動物が苦手でさ。子どもの頃どこかの家から逃げ出してきたすごいでかいシェパードに追いかけられたことがあって、それがトラウマっていうか。こんな話みっともなくてあの時はできなかったけど」