雨の降る世界で私が愛したのは


 野生のゴリラの全てが自分の群れを持つわけではないのだ、オス同士かたまったり、単独で行動する者だっている。

 ハルが独りっきりでいることは必ずしも不自然なことではないのだ。

 それにもしかしたらハルはジャングルにいたとき単独行動をしていたかも知れない。

 天才型ゴリラのハルなら充分にあり得ることだ。

 それだったらむしろ今のように独りだけの檻で生活する方がハルにとって幸せかも知れない。

 そうしたらこれからもずっとハルのそばに寄れて話をすることもできる。

 または、やはりハルはちゃんとした研究機関に行くべきなのではないだろうか?

 天才型なのだ。

 普通のゴリラたちと生活するのはむしろ苦痛なのではないか。

 自分が前にいたイギリスの研究機関だったら充分な対応が受けられる。

 ハルと一緒にイギリスにまた戻ってもいい。

 そうしたらもっと毎日ハルと一緒にいられる。


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