雨の降る世界で私が愛したのは
「ハルはあっちに移りたいの?」
やっぱりハルは本当は仲間のゴリラたちと一緒にいたいのだろうか?
あっちに移ったらこうやって自分とは近くで話せなくなるのに、ハルは自分よりメスのゴリラの方がいいのだろうか?
そんなことを思う自分に一凛は戸惑った。
これは嫉妬だ。
心のどこかでハルに移りたくないと言って欲しかったのだ。
ここがいい、このままがいい、こうやって一凛のそばにいられるここがいいと。
自分はハルと同じ瞳の色を持つメスのゴリラに嫉妬している。
それだけではなく、ハルにはずっと独りでいて欲しいと望む自分がいた。
自分だけがハルの理解者であり、ハルの全てでありたいと。
そんな思いが自分の中に潜んでいたのだ。
ずっと自分はハルが幸せになれるように願っているのだと思っていた。
広い意味での愛だと信じて疑わなかった。
でも自分ぬきのハルの幸せを素直に喜べない自分がいた。