雨の降る世界で私が愛したのは
「当たり前よ、いいのよ」
一凛はデザートで出された白い豆腐のようなものをスプーンですくって口に入れる。
ココナッツミルクの味が口の中で広がった。
「俺もせっかく久しぶりにちゃんとした店での食事なのになぁ」
颯太は自分の皿に残った食べかけのちまきを頬張る。
緊急外来はさぞかし忙しいのだろう。
颯太の目の下にはうっすらクマができていた。
「一凛ちゃんがあっちで付き合ってた人ってどんな人?」
唐突に颯太に訊かれ一凛はスプーンを皿に置いた。
アレックのことをどこまで話そうか迷ったが結局丁寧に話をしてしまった。
颯太がとても真剣に話を聞いてくれるのと、質問が巧みで誘導されるようにぺらぺらとしゃべってしまった。
話し終わった後一抹の後悔を感じたが話してしまったものは仕方ない。
「愛なんて簡単に壊れるもんだよな」
颯太は頬杖をついて呟いた。