雨の降る世界で私が愛したのは
依吹もまだ詳しいことははっきりと分からないが、今日の夕方園長からかかってきていた電話のメッセージにそう残されていたらしい。
ハルは先日新しい檻に移り、襲われたのはそこを担当していたスタッフだそうだ。
「俺も今気づいたんだ」電話の向こうでコンビニの入店音が聞こえてきた。
夜食でも買いに出たついでに電話をチェックしたのかもしれない。
「襲われたスタッフの怪我はどれくらいなの?」
恐る恐る訊ねる。
「重症だ。いま中央病院にいる」
一凛は暗い部屋でさらに暗いところに突き落とされた気がした。
これから病院に行くという依吹に一凛は自分も一緒にと申し出ると依吹は言った。
「なぜ園長がすぐに一凛に連絡しなかったか分かるか」
「わたしはもう信頼されてないってこと?」
依吹が擦れた声で笑ったのが聞こえた。
「ちがう。一凛に隠したい何かがあるんだ、きっと」