雨の降る世界で私が愛したのは
ハルは自分に語りかける。
もういいだろう。
自分に残された時間はあまり長くはなさそうだから。
ハルは初めて一凛を見たときから一凛に心を奪われていた。
守るべき娘のような存在としてではなく、愛おしい存在として一凛に惹かれていた。
だが一凛は人間だった。
あってはならないことだった。
ハルは自分の気持ちに顔を背け続けた。
一凛を想う気持ちがこれ以上大きくならないよう一凛への欲求を押さえ続けた。
そんな欲求は自分にはないと信じ込ませようともした。
また自分の知らない大きな何かも一凛に近づくなと警告を鳴らし続けていた。
しかしその見えない魂のようなものの叫びはそのまま一凛への想いのようでもあった。
ハルは気づいていた。
その二つが同質のものであることを。
最後に一目一凛の姿が見たい。
こんなことになるなら最後のあの時、あと数秒長く一凛を見つめればよかった。