雨の降る世界で私が愛したのは
夜が明けるぎりぎりまで車を走らせた。
小さな街の二十四時間営業のレンタカーで一凛は一台の白いバンを借りた。
その間ほのかは車内でハルと二人きりになった。
さすがに二人きりになると緊張した。
後ろでハルが動いた気配がしてとっさにドアに手をかける。
ハルは静かに言った。
「ありがとう」
低い心地の良い声だった。
気まずさをごまかすようにほのかはベイプを手に取った。
「吸ってもいい?」
ハルの返事を待たずに吸引口に口をあて深呼吸する。
車内にゆっくりと白い煙がたゆたたった。
ほのかが自分の部屋のベッドに身を投げ出したのは昼過ぎだった。
緊張しながら夜通し運転し疲れ果てていた。
体と瞼が鉛のように重い。
サイドテーブルの上にあるテレビのリモコンにどうにか手を伸ばす。
テレビをつけたとたん、動物園正門の映像が目に飛び込んできた。