雨の降る世界で私が愛したのは


『なんと!人を襲ったゴリラが脱走しました!』

 ほのかは飛び起きた。

 思った以上に情報が漏れるのが早い。

 チャンネルを回すとどこもハルのニュースを流していた。

 が、いづれもハルが脱走したにとどまり、一凛のことを報道するところはなかった。

 ハルが単独で脱走したと思われているようだった。

 もしかしたらハルが捕まってもそのとき一緒に一凛がいなかったら一凛は大丈夫かもしれない。

 だが今さらながら自分がしたことの重大さに気づく。

 一凛が捕まれば自分が協力したこともバレるかもしれない。

 やはり二人を逃がさずに警察に行ったほうがよかったのではないか。

 一凛に恨まれるかもしれないがそれがどうしたっていうのだ。

 ほのか、ごめんね。

 一凛の言葉を思い出す。

 ずっと昔、まだ小学生だった頃ちょっとしたことでほのかは一凛に意地悪をしたことがある。

 自分の手紙に一凛が返事をしなかったという理由だけで一凛をしばらく仲間外れにしたのだ。


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