雨の降る世界で私が愛したのは


 一凛は今回の事件の真相をほのかに話した。

 ほのかは最後まで聞き終わると、男の体はドラックでぼろぼろだったこと、普通の健康な状態だったら死ぬことはなかっただろうと、颯太が言っていたと告げた。

 一凛はそれを訊くと悔しそうな顔をし、

「だったらやっぱり絶対にハルを助けないと」

 と呟いた。

「でもそれでほんとうに状況は変わるのかな」

 ほのかは一凛の考えに賛成しかねていた。

 マスコミや世間はスクープが欲しいだけだ。

 それが真実であるかないかは関係ない。

 新たに彼らを喜ばせるネタを提供しなくてもいいように思えた。

 事故でもハルが人を殺してしまったのは事実なのだ。

 それに刺激的なサイドストーリーがつけば事が大きくなるだけのように思えた。

「このままずっと逃げ切れるわけじゃないから。見つかるのをただ待つよりはいいと思う。それでほのかにお願いがあるんだけど」



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