雨の降る世界で私が愛したのは
声が少し震えた。
本当は一凛の両肩を掴んで揺さぶりたかった。
激しく一凛を責めそうになる気持ちを懸命に抑える。
「ごめん」
やっと聞こえるほどの声だった。
「でもね、ハルがスタッフを襲ったのはちゃんとした理由があるの」
「知ってる、聞いた」
一凛は無言で、だったら分かってくれるでしょう?といった表情をする。
「にしても俺に黙ってハルを連れ出すなんて無茶すぎる。こっちは警察とマスコミで以前以上に大騒ぎだ。もう少し他に手はあっただろうに」
「それに関してはほんとに申し訳ないことをしたと思ってる」
「とりあえず俺だけには居場所を教えろ」
「依吹お願いがあるの」
一凛はイギリスに渡って向こうの動物愛護団体に助けを求めるつもりであることを話した。
「でもそれってすべてが公になるってことだよな。うちの動物園はもっと窮地に追い込まれることになる」
一凛は申し訳なさそうにうなずく。