雨の降る世界で私が愛したのは
「だからそういうのってさ、まるで」
依吹の言葉を一凛は強引に遮った。
「依吹だったら分かってくれるでしょ?だって依吹もほんとうに動物たちのこと思ってる人だから、だからわたしの気持ち分かってくれるでしょ」
それ以上何も言わせないような言い方だった。
ガラスを叩く雨の音とワイパーの規則正しい音だけが車内に響く。
「分かるさ、なにかのために一途になるってことぐらい」
依吹はため息をついた。
この話はここで終わりだというように一凛は
「なにか音楽かけていい?」
と訊いてくる。
依吹は無言でうなずいた。
ようやく着いた町は水底に眠っているように静かだった。
一凛の誘導で人通りがまったくない細い路地をゆっくりと進む。
ちょっとここで待ってて、と一凛は小さなアパートの前で車を止めさせると、細い階段を上がっていった。
窓を少しあけて外を覗く。