雨の降る世界で私が愛したのは
ずっと我慢していた感情をこれ以上抑えきれなかった。
「仕方がなかったのよ。
ハルをずっとあの狭い部屋に閉じ込めておくわけにいかないじゃない。
外を歩くときに毛がない方が目立たないから、だから」
「あれが、アニマルサイコロジストの一凛がすることなのか、あれじゃまるで動物虐待じゃないか」
一凛が息を呑んだ音が聞こえた。
言い過ぎたかとも思ったが、あのうす暗い部屋に佇むハルの姿はあまりに異様だった。
あそこに一凛とハルが一緒にいるところを想像しただけで全身鳥肌が立った。
「じゃあわたしにどうしろと?ハルをずっとあの暗くて狭い部屋に閉じ込めておけと?」
依吹は一凛の肩を掴んだ。
「一凛、正気か?この状況が変だと思わないのか?」
息が届くほどの距離で依吹は一凛の瞳をのぞき込む。
怯えた目をされ気持ちが怯み視線を逸らす。
一凛のこめかみに黒い毛がついていた。