雨の降る世界で私が愛したのは


「今はまだ無理だ。もう少したってからじゃないと。それに」 

 ハルは以前いた檻よりももっと厳重に監視されているという。

 檻の鍵も限られた人しか持っていない。

「じゃあ急がないと。急いでイギリスに行かないと。そうだ依吹ネット使わせて、とりあえずメールを送らなきゃ」

「一凛、ハルは諦めろ」

 依吹の突然のその言葉に一凛は固まる。

「これ以上マスコミや世間を刺激するな。

 それにどんな理由でもハルが人を殺したという事実は変わらないんだ。

 いいか、理不尽な殺意で他者を殺すのは人間だけだ。

 それ意外の動物はすべて正当防衛だ。

 でも相手が人間だった場合、加害者の動物はすべて『排除されるべき危険な存在』そう烙印を押されるんだ。

 俺なんかよりも一凛が一番よく分かってることだろう」

「イギリスに行くこと、この前は依吹も賛成してくれたじゃない。それに真実は明らかにすべきよ」

「一凛とハルの関係もか?」

 依吹や冷ややかに言った。



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