雨の降る世界で私が愛したのは
「俺が賛成したのは一凛とハルのことを知らなかったからだ。本当に一凛の思う通りに世間を操ることができると思うか?下手したら何も得られずに全てを失う」
そう言うと依吹はコーヒーを入れるからとキッチンに姿を消した。
一凛は脱力したようにソファーにもたれかかった。
簡単な計画でないことは最初から分かっていた。
低い成功率に見合わない高すぎるリスク。
キッチンから何かが割れるような大きな物音がした。
一凛が駆けつけると依吹が床に散らばったガラスの破片を拾っているところだった。
「カップ取ろうとしたら手が滑っちゃってさ。危ないから一凛は手伝わなくていいよ」
一緒に破片を拾おうとする一凛をやんわりと制する。
依吹は昨日から殆んど寝てないはずだ。
「依吹、もしお腹空いてたらわたし何か作ろうか?」
「たぶん一凛より俺のほうが料理上手い」
そう言って依吹はちょっとだけ笑った。