雨の降る世界で私が愛したのは
ほのかは玄関先で一凛を抱き締めた。
「ごめん一凛、わたしがもたもたしてたせいで」
「ほのかのせいなんかじゃないから謝らないで」
ほのかは空港からそのまま一凛のところに来たのか仕事用の大きなバックを持っていた。
「いったいどうして?なんでハルは捕まっちゃったの?」
一凛は静かに首を横に振った。
「ハルはどうなるの?」
一凛はそれにも応えなかった。
「とりあえず上がって」
一凛はほのかを促し、白いティーポットにお湯を入れながら言った。
「ほのか、わたしとハルはね」
「言わなくても分かってる」
一瞬一凛は手を止めたが
「紅茶でいい?」
とほのかに訊ねた。
白いカップをほのかの前に置く。
「気持ち悪くないの?」
ほのかはカップに注がれた紅茶をじっと見ていたが、不意に顔を上げると言った。
「一凛の運命の相手はハルだったんだよね」
ほのかは一凛の唇がわずかに震えるのを見ながら、あの時のことを想い出していた。