雨の降る世界で私が愛したのは


「以前颯太が俺を迎えに来てくれたことがあったんだけどさ、

 駅に着いたと連絡があってから随分してからスナックにやって来たんだけど、

 颯太えらい蒼い顔をしててさ、どうしたのかって聞くと、一凛ちゃんを見かけたって言うんだ。

 で、その後ずっと黙ったまま怖い顔してるもんだから、その時は一凛ちゃんと何かあったのかと思って」

「颯太が一凛を!?」

 身を乗り出したほのかに彰斗は驚く。

 彰斗は何も知らないのだ。

 ほのかは座席から浮かした体を元に戻す。

 彰斗はほのかの様子に怪訝な顔をしながらも話を続ける。

「あいつ最近相当奥さんと上手くいってないのかな。ときどき俺のクリニックに寝泊まりしてるんだけどさ」

 一度どこのビジネスホテルもいっぱいだからとクリニックに泊めさせたことがあったらしい。

 ちょうどその夜具合が悪くなった患者がやって来て、そこはさすがに救急外来の颯太、対応がすばらしかったそうだ。 



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