雨の降る世界で私が愛したのは
とてもじゃないがひとりで出産することは不可能に思えたし、町の医者にかかる勇気もなかった。
一凛自身にも、お腹の子がハルの子なのか依吹の子なのか分からなかった。
依吹の子である可能性もある限り堕ろすことはできなかったし、ハルの子だとしてもその選択は一凛にはなかった。
もしハルの子だったら、一生自分が抱えて生きて行こうと覚悟していた。
自分の我が儘であることは分かっていた。
迫害だけが待ち受けている世界にハルの子を産み落とすのだから。
それは間違っている!
全てがそう言っていた。
でも一凛は正しくあろうとすることなど、もうずっと前に止めていた。
一凛はただ自分の気持ちに素直であろうと、愛おしいと思えるその気持ちだけに向かって行こうと決めていた。
この子を守るために自分が盾になろうと。
そしてもし依吹の子だったら。
その時は一凛は依吹の愛を心から受け止めようと思った。
それが運命なのだ。
今を今までをハルを全て封印しようと。