雨の降る世界で私が愛したのは
白黒のスクリーンに映る影は小さかった。
それでも蠢くそれは颯太には禍々しいものに見えた。
一凛の容態は思わしくなかった。
颯太の妻が妊娠した時と同じように蒼い顔をした一凛は心配そうにそれでも颯太を頼りきった目で見た。
何度も蠢くその影を捻り潰したい感情に襲われた。
次第に形をなしてくるその影を、早くどうにかしなければと焦り始める。
でもいつからかその影は幼くして逝ってしまった我が子と重なるようになっていた。
それに自分はそれを見たわけではないのだ。
声を聞いただけなのだ。
全ては自分の想像かも知れないではないか。
万が一、普通の子だったらとんでもないことになる。
そうだきっとこの子は普通の子だ。
颯太はそう自分に思い込ませる。
でもそう思えば思うほど小さな影は一度も腕に抱くことのなかった我が子と重なった。
自分が見捨てた子ども。
もっと何かしてやれることはあったはずだ。