雨の降る世界で私が愛したのは
それなのに自分は全てを妻に任せ背を向けたのだ。
本当は手を尽くせばもう少し長く生きられたかも知れない。
あの子の寿命を縮めたのは自分だ。
いや、殺したのは自分ではないかとさえ思えてくる。
もしかしてこの蠢く影はあの子ではなかろうかと非現実的な発想をするようになるまで颯太は追い詰められていった。
自分を恨むがあまり悪魔と化したあの子が生まれ変わって自分に復讐しに来たのではないだろうか。
それならば自分はそれに向き合わなければいけないと思った。
そうすることで自分はずっと引きずっている呪縛から解放されるだろう。
恨みで形を変えた我が子と戦う。
それが自分の犯した罪を制裁する唯一の方法に思えた。
生まれて来た子は人の形をした人ではない者だった。
そして自分に牙をむく悪魔でもなかった。
それはただ一つの無垢な命だった。
無力で無害のこのまま放置すれば声をあげることもなく誰にも知られずに消えてなくなる小さな光だった。