雨の降る世界で私が愛したのは
「俺の体に流れているのは本来混ざってはいけない血なんだ。子孫が途絶える運命の血、すなわち濃すぎる血縁」
開いた手を握りしめる。
「俺の父親は俺の親父だよ。俺は近親相姦で生まれた子どもなんだよ」
伊吹はますます強く手を握りしめる。
「初めてそれを見た時、俺はまだ小さな子どもだった。
俺だって何度も自分には罪はないんだと、もっと堂々としてればいいんだとそう言い聞かせた。
でもこの目が、世界を見るこの目が俺は呪われた存在なんだといつも訴えるんだ。
お前は人と違うんだ。
呪われた烙印を押された者なんだ。
目だけじゃない、分からないだけでもっと他に異常なところがあるかも知れない。
そしてそれは将来の俺の躰を蝕む恐ろしものかも知れない。
不安だった。
怖かった。
呪われた遺伝子が俺の知らない躰のどこかでうごめいて俺を殺す準備をしているかも知れないんだ。
それを自分で見つけたかった。