雨の降る世界で私が愛したのは

 一凛の声が消え入るようにか細くなった時ハルは口を開いた。

「もうそろそろ行った方がいい」

 体を離す。

 抱き合っていた体から熱も一緒に奪われる。

「ハル、わたしあなたの赤ちゃんを産んだのよ」

 ハルの瞳の奥が脈打った。

「なぜ」

 ハルは聞き取れないくらいの掠れた声で言った。

「なぜ人以外の動物は涙が出ないんだ。言葉などいらない。言葉などでは何も伝えられない。人と同じでなくてもいい、この躰を流れる血でもいい。この哀しみを少しでもこの躰の中から流れ出すことができるのならなんでもいいのに」

 ハルは頭を振り上げると叫んだ。

 胸が引き裂かれるような低い哀しい声だった。

 ハルは叫び続けた。



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