雨の降る世界で私が愛したのは


『今日はごめん。

 なんかみっともないとこ見せた。

 依吹のことはいろいろ考えさせられる。

 俺、頭冷やした方がいいと思うから、明日の朝は迎えに行くのを止めようと思う。

 あとあのゴリラだけど、本当に危険だと思う。

 お願いだからもう近づかないで欲しい。颯太』


 しばらく電話を眺めていると後ろで「よお」と声をかけられる。

 振り向かなくてもその声で依吹だと分かった。

「今日、彼氏のお迎えないんだ。まさか昨日のことが理由?」

「それ以外なにがあると?」

 依吹は一凛の歩みに合わせてゆっくりと自転車を走らせる。

「だって挑発してきたのはあっちだぜ」

 颯太が伊吹のお姉さんのことで何か言おうとしたとき伊吹の態度は一変した。

 颯太はあのとき何を言おうとしていたのだろうか?




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