雨の降る世界で私が愛したのは
「うん。でもそれはきっかけ。わたし思うの、動物ってわたし達人間が思っている以上に複雑で深い心を持ってると思うんだ。なんでも人間を中心に考えがちだけど、表現が違うだけでちゃんと同じ気持ちを持っていたり、それにもしかしたら人間が持っていない感情を彼らは持っているかも知れない」
言い終わって一凛はちらりと依吹の方を見た。
依吹はしばらく黙って遠くの方を見ていたが、一凛の視線に気づくと顔を向けた。
「いいと思うよ」
一凛はほっとした。
「依吹ならそう言ってくれると思った」
「なんで?あいつは反対したんだ。しそーだな。あいつ典型的な人間中心主義だもんな。自分の怒った顔が猿山のボス猿そっくりなのも知らないでさ」
一凛は思わず吹き出す。
こんなふうに颯太の容姿をこき下ろすのは依吹ぐらいで、それがなんだか可笑しかった。