雨の降る世界で私が愛したのは


 一凛は颯太が何を言いたいのか分からない。

「依吹に同情してるとこあるだろ、依吹の目のこととか依吹の姉ちゃんはほんとうは依吹の母親だってこととかさ」

「依吹のお姉さんが依吹のお母さんって」

 初めて聞いた話だった。

 一凛の驚いた顔を見て颯太はちょっとだけ気まずそうにした。

 「知らなかったのかよ、子どもの時から一緒にいて。依吹の姉ちゃんは十五の時に依吹を産んだってみんな昔から噂してんだ。相手の男は」

 その後の話は一凛が耳を塞ぎたくなるような内容だった。

 

 依吹の父親、依吹のお姉さんの相手の男性は誰だか分からなかった。

 周りがどんなに問いつめても本人は決して名前を言おうとしなかったらしい。

 ちょうど数ヶ月前から隣接する町で連続強姦事件が起きていて、被害者はみなまだ十代前半の少女ばかりだった。

 依吹が産まれた同じ年に犯人がようやく捕まった。




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