猫又様のお嫁様
「ぎりっぎりセーフ!!」


走ったお陰で校門が閉まる直前に着けた琴子


教室に行くとまだ先生は来ておらずガヤガヤと声がする


その中へ内心ドキドキしながら入る琴子


「(おはようって言いたい)」


途中からクラスに加わった琴子


すでにクラスの女子はグループができがっていた


周りはちらっと琴子をみるがまた話に戻る


琴子は誰とも言葉を交わさないまま自分の席へ着く


琴子の席は教室の1番奥の後ろから2番目の席である


「(今日も誰とも会話せずかぁ…)」


なんて悲しいと思っていると


「予鈴鳴ったわよ〜席に着きなさい」


担任の三森が来る


「じゃあ出席とるわよ」


と出席を撮り始める三森


そんな声をよそに琴子は窓の外を見る


外には校庭と


琴子が通って来た猫の通り道が見える


「(はぁ猫に触りたい)」


「林道さん」


「(てか、なんであんなに避けられるのかなぁ)」


「林道さん!!!」


「は、はいいい!」


「ぼーっとしないでね?」


「は、はーい」


ぼーっとしていた琴子は三森に怒られる


「(またやってしまった)」


はぁ、とため息をつく琴子


ただでさえクラスに馴染めていない琴子


後ろの席は男子


前の席も男子


隣の席も男子


男子に囲まれていてさらに女子から遠くなる


「(はやく席替えならないのかなあ)」


自分が来たのは7月


なのに未だに席替えはしていない


三森は面倒だからと言っていた


「(私の高校生ライフが…)」


とまた外を見つめる


校庭では1限目から体育があるクラスが準備をしていた


とそこへ


「(ん?)」


校庭の真ん中で立っている人がいる


その人は周りのように準備をしていない


「(準備手伝いなよ)」


と思う琴子


目を凝らして見ると


「(着物?浴衣?え、猫抱っこしてない?)」


そこに立っているのは和服を着た男が猫を抱っこしており


「(こっち見てるし)」


琴子をじっと見つめていた


「(え、こわ)」


琴子は目をそらしたいがそらせないでいた


逸らしたいと思っていると


キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る


はっと時計を見ると1限目が始まる合図だった


そしてまた外を見ると和服の男はいなかった


「(ゆ、幽霊)」


琴子はついに幽霊が見えるようなってしまったと


内心ドキドキしていた
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