この恋は、きみの嘘からはじまった。





「司はよ。
今日はギリギリだな」


「……おう」


「あれ?
元気ない?」


「…………」




教室に入ればすぐに康二が声をかけてくるけど、いつも通り冷たく接する。


接しているつもりだったけど、いつも通りじゃないみたいで突っ込まれた。




康二を無視するとか、相槌だけとかはよくあるんだけどな。


さすがずっと一緒にいるだけある。





「おはよう」


「…………」




秋人が俺に向かって挨拶してきたけど、顔を見るとすぐに逸らしてしまった。


挨拶を返そうと思って口を開くも、すぐに閉じて結局なにも言わない。




そのまま自分の席に行き、座って授業が始まるのを待った。



まじめに受けてみようと思っても上の空で、頭に浮かぶのは琴乃と秋人と小野寺のこと。





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