この恋は、きみの嘘からはじまった。
過去の自分に。
過去の恋愛に。
好きだった人に。
ゆっくりと顔を上げた小野寺くん。
付き合っていたころとは身長も髪型も顔立ちも変わっている。
あのときから私も変わった。
「好きだよ。
琴乃のことがずっとずっと好きだ。
忘れたくても忘れられなかった。
諦めたくても諦められなかった」
真っ直ぐに伝えられた言葉に、心がチクッと痛む。
その小さな痛みは奥底まで刺激して、何重にも鍵をかけてしまった気持ちに届く。
もう開かないはずだった記憶。
掘り返したくない、掘り返すことはないと思っていた記憶。
大切な記憶。